目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第1章 部下との「スタンス」を見直す【1】
「自分のことを部下に話す」
人は、見えないもの、分からないものに対して不安や恐れを感じます。
海に飛び込み、底に足がつかなかったときは怖いですよね。泳ぎが苦手な人は、パニックになってしまうかもしれません。ところが、透明で底までくっきりと見えるような海の場合は、どのくらい深いのかが分かるため、怖さが半減します。
お化け屋敷でも、似たようなことが起こります。例えば、全ての壁が透明なお化け屋敷があったとしましょう。来場者からは、どこでどんなお化けが待ち構えているのか丸見え。これでは、怖さなど感じられませんよね。お化け屋敷は、どこに仕掛けがあるか分からないから怖いのです。
人間関係にも、同じことが言えます。
何を考えているのか分からない上司は、部下からすれば不安であり、恐怖です。
よく、意識しないまま相手を怒らせることを「地雷を踏んでしまった」と表現しますよね。何をきっかけに怒りのスイッチが入るのか分からない上司は、まさに「地雷原」のようなもの。
あなたにも、「あの上司は、考え方が分からなくて不気味だよ」「どんなきっかけで機嫌が変わるかつかめないから怖い」などと感じた経験はありませんか?
部下から不信感を持たれるようでは、指導がうまくいくはずがありません。逆に、「私はこういう人間である」と伝えられれば、部下との関係性は劇的に改善されます。そこで、まずは自分自身がどんな人間なのかきちんと把握することが必要です。
そのためにやっていただきたいのが、自分自身を振り返り、その姿を再認識する「自分の棚卸し」です。
ここで効果的なのが、「私は……」の後に続く言葉をできる限り挙げてみることです。20個くらい書き出してみれば、あなたの人となりが見えてくるでしょう。
ただし、いきなり「私はどんな人間だろう?」と考えてみても、なかなか答えは出ないものです。研修などで、最初にアイスブレイクとしてこのワークをしてもらうことがあるのですが、あまり浮かばないという人も珍しくありません。
その場合は、考えやすくするために次のポイントを伝えます。
1)私の好きなもの(こと)は〜だ。
2)私の嫌いなもの(こと)は〜だ。
3)私の強み(長所)は〜だ。
4)私の弱み(短所)は〜だ。
それぞれについて5つずつ挙げていけば、すぐに20個の回答が出揃うでしょう。
これでもまだ悩んでしまうという人は、近くにいる誰かと自分を比較してみてください。
例えば、「同期入社でのんびりしているあの人に比べると、私はせっかちだなあ」「上司のAさんは野球が好きだけど、私はサッカーの方が好みだ」などのように誰かを基準にして自分を振り返ると、自分の個性が浮かび上がってくるものです。
特に大事にして欲しいのが、自分の弱点を明確にすることです。
あまりに完璧すぎる人は、周囲から敬遠されがちです。適度に弱点を持っている人の方が、かえって人間的な魅力があると評価されるのです。ときにはあなたも、自分の弱みをさらけ出しましょう。そうすれば、部下から共感や親しみを抱いてもらうチャンスが生まれます。
自分自身を知る。そして、自らの人となりを発信する。それが、部下と良好な関係を築く第一歩です。
勇気を持って部下に自分のことをさらけ出しましょう。
部下は完璧なリーダーを求めているのではなく、人間味あるリーダーと一緒にやっていきたいと思っています。
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自分と部下の価値観は異なることを理解する
第1章 部下との「スタンス」を見直す【2】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。固有名詞、名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことをご了承ください。