目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
アーカイブ:
アーカイブ:
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第2章 部下と関わる「場・環境」をつくる【4】
「報告のタイミングを育成の場に変える」
人は、周囲の人間関係から大きな影響を受けます。
例えば、会社では厳しい男性社員が、家に戻って子供と遊ぶと別人のように優しいお父さんになるというケースは、決して珍しくありません。
同じように、あなたの部下も、社内と社外ではがらりと変わっている可能性があります。特に、営業などで顧客と対面したり、協力会社のスタッフと仕事をしているときは、全く別の一面が見られたりするものです。
私は若い頃、営業職向けの教育案件を数多くこなしていました。そのため、営業同行して指導を行う機会もたくさん経験しています。
指導した営業職の中には、「なぜか売れない営業マン」とでも呼ぶべきタイプがいます。商品説明をさせると上手にこなすし、顧客に出した提案書も悪くない。人柄や外見だって問題なさそうなのに、なぜか数字は伸びないという人です。
最も多いパターンは、「押しが弱くてクロージングできない」というものです。社内ではそれなりに自己主張できるのですが、お客様の前では借りてきた猫のよう。そのため、「最後の一押し」ができず、契約を勝ち取れないのです。
相手の話をきちんと聴いていないため、ピントのずれた提案ばかりしてしまう人もいます。
社内会議などでは普通にコミュニケーションができているのに、客先では相手の言うことが頭に入らないのです。そのため、価格の安さより納期の正確さを重視している顧客に対し、「当社はここまで値引きできますよ!」などと的外れな提案をして、そっぽを向かれるのです。
お客様の前に出ると、誰しも緊張するものです。すると、社内にいるときとはキャラクターが変わったり、普段の力が出し切れなかったりする場合があります。
社内では「アイツ、ちょっと頼りないなあ」と感じていた部下が、社外では柔軟な発想力を活かして大活躍できるパターンです。こういう部下は、デスクに縛りつけてはダメ。ぜひ、社外で自由に飛び回らせてあげましょう。
実際のお客様とのやりとりを見ていれば、どこができていて、どこが苦手なのかを把握することができます。もちろん社内での仕事の中からも把握することはできますが、 緊張感のあるお客様の前だからこそ、素が出やすくなります。
いずれにせよ、営業同行などで社外の部下の姿を見ると、部下の特性や、ちょっとした「クセ」に気づくものです。こうした情報は、部下を育成する上で非常に役立ちます。
営業力に自信のある人ほど、顧客にプレゼンテーションする部下の姿を見て、「私だったらこうするのに…」という気持ちになりがちです。そして、つい我慢できず、横から口出しをしてしまうこともあるでしょう。
しかし、これは最悪。もし、うまく契約を取れても、部下から見れば「手柄を横取りされた」という感覚になってしまいます。
また、契約が取れなかったときは目も当てられません。「あの上司がしゃしゃり出たから、失敗したんだ」と思われ、次からは同行を拒否されてしまう危険性だってあります。
そして、部下が困って助けを求めてきたときだけ、横からさらっとサポートをする。
営業同行では、その程度に抑えておきましょう。そうすれば、「次も同行をお願いします!」と、部下から頼られる上司になれるはずです。
次の記事はこちら
会議で部下を成長させる
第2章 部下と関わる「場・環境」をつくる【5】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。