目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第3章 部下に上司の「姿勢」を見せる【3】
「挑戦の姿勢を見せる」
すでにお伝えしたように、部下は上司に「未来の自分」を見ています。後、数年して上司の年齢になったとき、自分はどうなっているかという姿を、上司に重ねているのです。
もし、上司が素敵に見えれば、部下のモチベーションは高まるでしょう。 「将来私は、こんな素晴らしい人になれるかもしれない」と、前向きに考えられるからです。
一方、上司に幻滅していたら、真剣に仕事に取り組むエネルギーは生まれにくいものです。
年齢を重ねても新しいものごとに取り組むためには、好奇心や行動力が不可欠。そういうものを持ち合わせている上司に、部下は憧れるのです。
逆に、挑戦をやめてしまい「もう、このくらいでいいや」とあきらめているような上司には魅力がありません。もう「上がり」のような雰囲気が出てしまい、未来の希望を感じ取れなくなってしまうからです。
ですから、ときにはヒップホップダンスなんかをはじめて、部下を驚かせてみてはいかがでしょうか? もちろん、挑戦するのはヒップホップダンスでなくても構いません。山登りでもいいですし、料理教室に通ったっていい。要するに、何か新しいものに取り組んで、自分自身の可能性を広げて欲しいのです。
その店の大将は、広く名の知られた名人。カウンターに座ったお客さんに対し、寿司の説明をしながら握り続けていました。すると、その人の前に外国人の混じったグループが座ったのです。
私はカウンターの隣の席で、大将の様子をちらちら見ていました。すると大将は、流ちょうな英語で「この寿司は●●産の△△で、塩をつけてお召し上がりください」と話したのです。かなり年配の大将からさらりと英語が出てきたことに、私は少なからずビックリしました。
私はおなかいっぱいになるまで寿司を頼み、隣のカウンターの席が空くまで粘りました。そして、ようやく大将とお話できる機会を得られたのです。どこで英語を習ったのか聴いてみると、「独学ですよ」と答えてくれました。
大将の腕は名人級。おまけに、黙っていても毎日たくさんの人が詰めかける有名店です。その立場にあぐらをかくことだって不可能ではないでしょう。しかし、大将は年を取ってから英語を学んだのです。おそらく、外国人の来店客に、もっと寿司を楽しんで欲しいと思ったからでしょう。
私は、大将の姿勢に感銘を受けました。財布は軽くなりましたが(笑)、大きな財産を得たような気がしました。大将が英語を学ぶような職場なら、部下は気を抜いてなどいられません。当然、「素晴らしい腕があり、年齢も上の大将があれだけやっているんだから、オレもがんばらなきゃ!」と思うでしょう。これこそが、上に立つ人間だと、私は痛感しました。
かくいう私も、45歳になってから空手の稽古をはじめました。実は、空手は学生時代にやっていて、段も取っていました。20年以上も離れていたので、すっかりなまってしまいましたが、また白帯から再スタートしたのです。「昔は空手をやってたんだよ」という自慢話は、年寄りみたいでかっこわるい。そこで、もう一度鍛え直し、たるんだ若者に後ろ回し蹴りを食らわすような老人になってやろうかと、もくろんでいます(笑)。
また、今の会社の規模では無理だと言われた雑誌の創刊にも挑戦してみました。もちろんコストがかかるものなので、無謀な取り組みはNG。でも、何か新しいことに挑むことは、今後も引き続き取り組んでいこうと考えています。
上司がそういう姿を見せると、部下も新しいものに挑戦してみようかな、とマネしはじめます。
ここでも、言動一致が大切。部下に対し、「自分の可能性を広げろ」「新しい仕事にチャレンジしろ」とハッパをかけたいのであれば、あなた自身も可能性を広げ、新たな物事に挑戦しなければならないのです。
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社内人脈を広げる姿勢を見せる
第3章 部下に上司の「姿勢」を見せる【4】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。