目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本

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第4章 言葉にして「想い」を明確に伝える【2】部下が理解できるように話す

部下に考えや指示を効果的に伝える方法

部下への指示の出し方にはテクニックがあります。1から10言わずとも「阿吽の呼吸」で仕事ができるのが理想ですが、これからは多様性が求められる時代になっていきます。不本意なすれ違いでお互いに気疲れしないように、リーダーや管理職は「論理と情熱」を備え、効果的に伝えるテクニックを学びましょう。

目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第4章 言葉にして「想い」を明確に伝える【2】
「部下が理解できるように話す」

部下が理解できるように話す

世の中には、「何をしたいのか今ひとつ分からない管理職」がいます。特に目立つのが、次の2つのタイプです。
1つ目は、やりたいことははっきりあるのに、話し方が悪くて、想いが伝わらないタイプ。
そして2つ目が、役員の言っていることを部下にそのまま伝えるだけで、自分の意思を表さないタイプです。

前者には「論理的に説明する能力」が、後者には「周囲を巻き込むための熱意」が欠けているため、部下に自らの想いをうまく伝えられないのです。

何をしたいのか今ひとつ分からない管理職のタイプ

1.目的はあるが伝え方が悪いタイプ
 足りないもの→論理的説明能力

2.伝達に終始して意思を表さないタイプ
 足りないもの→周囲を巻き込むための熱意

論理的説明能力が足りない人に武器を授けます

論理的説明能力が足りない人には、「ホールパート法」と「PREP法」という2つの武器を授けたいと思います。

論理的

論理的説明能力の武器1「ホールパート法」

「ホールパート法」とは、全体から細部へと話を組み立てる構成法です。最初に話の全体像を伝え、続いて細かなポイントについて話し、最後に提案や要望、要約でまとめるというスタイルです。

例えば、こんな話し方です。

「今期の目標は3つあります(=全体像を示す)。ひとつ目は、一人あたり10件の新規顧客開拓を目指すこと(=ポイント1)。2つ目は、既存顧客からの受注額を前期並みにすること(=ポイント2)。3つ目が、業務効率を高めて事務作業の時間を減らし、その分、営業時間に充てられるように努力することです(=ポイント3)。以上を踏まえ、前期より10%の売り上げ増を目指したいと思いますので、一緒に感張りましょう!(=まとめ)。」

最初に全体像を示すことで、相手は頭が整理されます。その上でポイントを絞って話し、最後に要望などでまとめれば、言いたいことが伝わりやすいのです。

論理的説明能力の武器1「PREP法」

一方、「PREP法」は、結論から伝えて理由づけを行い、最後に再び結論を伝えて締める方法です。

「Point(要点)」→「Reason(理由)」→「Example(事例)」→「Point (要点)」の順に伝えるため、それぞれの頭文字を取ってPREPと呼びます。

例えば、こんな話し方です。

「今期は既存顧客よりも、新規顧客の開拓を重視しようと思います(=要点)。なぜなら、これまで力を入れてきた○○分野は成長が見込めないのに対し、当社のノウハウが活かせる××業界は急成長中で、大きな売り上げが見込めるからです(=理由)。その証拠に、先日Aさんが××業界の企業から、大きな受注を得ることができました(=事例)。今後は××業界を中心に新規開拓を目指して、売り上げアップを目指しましょう!(=要点)」

この2つのやり方を身につければ、「言いたいことはあるのに、うまく伝わらない」という悩みもかなり解消できるはずです。

ただし、どんなに理路整然とした話し方をしても、それだけでは気持ちは伝わりません。人を動かすためには、やはり「熱い想い」が不可欠です。

巻き込む熱意が足りない人は「主語」に気をつけてみよう

熱いハート

世の中には、「会社はこういう方針だから」とか「会社がやれと言っているから」という言い方をする管理職もいます。しかし、これでは心に響きません。部下からすれば、会社の言い分を伝えるだけの「メッセンジャーボーイ」に見えてしまうからです。

会社の方針をそのまま部下に伝えてはダメ。会社がやりたいことは何か、そして、それを実現するために、自分のチームはどんな役割を果たすべきか、自分なりに考え抜きましょう。同時に、与えられたミッションを何とか実現しようという熱意を持つのです。それが部下に伝われば、あなたの言葉に、グンと説得力が増します。

ここで大事なのは、「チームとして、一緒にがんばろう」という姿勢を見せることです。そのためには、言葉の「主語」に気をつけましょう。「あなたたち」という話し方はNG。

そうではなく、「私たち」や「我々は」という主語を使うことが大切です。

現場のリーダーである管理職には、「おれはこうしたい!みんなでやっていこう!」 という気持ちを伝えることが大事です。熱い気持ちが伝われば、人間は動くのです。

POINT 「論理的」+「情熱的」に想いを伝え、部下を動かす

 

次の記事はこちら
必要なスキルや知識を言語化して伝える
第4章 言葉にして「想い」を明確に伝える【3】

 

この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。

著者:大林伸安(おおばやしのぶやす)

大林伸安

株式会社ノビテク 代表取締役
教育担当者支援マガジン NOBETECH MAGAZINE 発行人
英国国立ウェールズ大学大学院経営学修士(MBA) 、アクションラーニング学習コーチ。

教育研修事業、講演事業、情報発信事業など人材育成に関わる事業を展開する。日本一の規模の研修実施プロジェクトを講師側総責任者としてプロデュースし、完遂させた実績を持つ。競合会社の経営者が集う「研修業界経営者サミット」では、業界のリーダーたちと研修業界の未来を一緒に考える。

著書:
『仕事が楽しくなる!25のルール』 ダイヤモンド社
『目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」 に変える7つのこと』 明日香出版

大林伸安の講師プロフィール

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投稿by 株式会社ノビテク編集部
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