目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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部下を育てるためには、ほめることが不可欠です。ほめることで自信を与えられます。考えさせる機会も与えられます。本シリーズを通じて、部下をほめて成長させることを推奨してきました。しかし「ほめることが苦手だ」と考える管理職・マネージャーの方もいらっしゃるでしょう。そこで、本記事では間接的にほめる「傍聞き」のテクニックをご紹介します。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第5章 部下に「成長」したことを感じてもらう【6】
「間接的にほめてやる気を刺激する」
「傍聞き(かたえぎき)」という言葉を聴いたことがありますか?
これは、誰かのそばで、聴くともなしに会話を聴いてしまうこと。
余談ですが、推理小説家の長岡弘樹さんが、同名のミステリー小説を書いています。
例えば、友達から「○○ダイエットしたら、体重が○キログラム減ったよ。あなたもやってみたら?」とすすめられても、すぐに信じ込んだりはしないでしょう。
ところが、その友達が別の人に「このダイエットを試したら、体重がぐんぐん減ったのよね」と話しているのをたまたま聴いてしまったら、どうでしょうか。そのダイエットには信憑性があるのではないかと考えるのではありませんか?
「このダイエット食品を買ってね!」と宣伝されても、なかなか買う気にはなりません。ところが、どこかの大学教授が、ダイエット食品の効能について語っている記事を偶然読んだら、その商品には効果があるのではないかと信じてしまうかもしれません。
その人は、選手の前では決して優しい言葉をかけません。ミスをしたときなどは、めちゃめちゃ批判することもあったそうです。
ところが、たま〜にマスコミの前で、「わしゃ、あの選手には期待してるんじゃ」などとつぶやく。そして、新聞記事などを通じてその選手に伝わると、「なんだ、監督は オレのことをボロカスに言ってたけど、ホントは期待してるんだなあ」と奮起するのだ そうです。
日本人の多くは照れ屋です。人をほめるのが苦手だという人は、決して珍しくありません。
特に、「直接顔を合わせると、なかなかほめられない」と語る人には、これまでたくさん会ってきました。でも、これまでお伝えしてきた通り、部下を育てるためにはほめることが不可欠なのです。
では、どうしたらいいのか。そこでおすすめしたいのが「傍聞き」なのです。照れ屋な人でも、直接でなければほめることができます。だから、その人がいない場所で、別の人に対してほめ言葉を言えばいいのです。すると、回り回って本人の耳に入ります。
この手法を応用して、部下に修正して欲しい点を伝えることも可能です。その場合、必ずポジティブな表現を心がけることが大切。
例えば、「○○の部分を直せば、アイツはもっと素晴らしい人材になれるよな」など、ほめながら問題点を指摘するようにしましょう。
逆に最悪なのが、部下に対する悪口です。人から回り回って伝わった悪口は、人の心を激しく傷つけます。そして、「あの上司は、私に全然期待していないんだな!」などとモチベーションを下げてしまうのです。
また、間接的にそのほめることを聴いているメンバーにも、大きな影響を与えます。本人のいないところで、部下をほめている上司を見たメンバーは、「この人は、部下を信頼している」とその上司を信用します。
反対に見ていないところで部下の愚痴や悪口を言う上司を見たメンバーは、「自分も陰で何を言われているか分からないな」と、その上司への不信感を募らせます。
また、気軽な飲み会や他のメンバーとの雑談中など、さりげない場とタイミングで言うのが自然です。注意点としては、誰かと比較してほめないことです。「Aさんに比べて、Bさんはここが優れている」などとほめるのは、一方の人を評価していないのと一緒です。
とにかく直接ほめ言葉を言うのが難しいなら、他の人を通じて伝わるようにする。
大切なのは、直接であろうが間接であろうが、部下にこちらの想いがきちんと伝わることです。
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部下に復唱させる
第6章 部下の「内省」を促す【1】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。