目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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誰しもミスはするものです。しかし、仕事のミスのなかでも「うっかりミス」は事前に対処ができるはず。そこで部下へ指示や依頼をする際に、簡単に使える振り返り手法「復唱」をおすすめします。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第6章 部下の「内省」を促す【1】
「部下に復唱させる」
当たり前のことですが、人間の記憶はとても曖昧なものです。
19世紀のドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスの「忘却曲線」にもあるように、そもそも脳は忘れるようにできていると言われています。
若手の仕事を見ていると、仕事のミスは些細な勘違いや誤解、うっかりから発生することが多いのです。
そこで、部下を「できる部下」に変えていくために上司がやるべきことは、このうっかりミスをできるだけ減らすことです。
そのためには、何が有効でしょうか?
ミスしたときに注意するだけではダメです。そもそもミスをしないように、確認の習慣を身につけさせることが大事なのです。
そこで有効なのが、部下に指示を与えたとき、その指示を必ず復唱させることです。
たったこれだけで、劇的に効果が上がります。
1つ目は、部下が命令をきちんと理解できているのか確認できることです。
特に効果が高いのは、入社2~3年目の若手社員。
新入社員のうちは、命令を受けると「復唱確認しなさい」と口うるさく指導されます。
ところが、入社から1~2年たって仕事に慣れると、つい面倒でやらなくなってしまいます。
上司も、部下を何となく信用し、「分かった気になっている」のを「分かったんだ」と勘違いしてしまうのです。
余談ですが、新入社員より入社2~3年目の社員の方が、大きなミスを犯します。
これも、復唱確認を怠っているからこそ。
そこで、「ちょっと復唱してみて」と伝えましょう。すると、聞き漏らしていた点も分かりますし、勘違いしているところも見つかるはずです。すると、凡ミスを劇的に減らせるでしょう。
2つ目は、復唱させることで部下に正しく記憶させる効果があるのです。
学生時代、試験勉強をするときに、英単語を発音しながらノートに書き写し、暗記していた人はいませんか?
実は人間の脳は、五感をできるだけ活用する方が記憶に刻まれるのです。
単に耳で聴くだけのケースより、自分で話した声を耳で聴く方が、脳が活性化してきちんと記憶することができます。
一方、10年も経験を積んでいるような中堅社員の場合、復唱を求めるのは大変かもしれません。
ベテランだというプライドが、どうしても邪魔をしてしまいますから。
その場合は、指示を出したときに、「こういうのはどう思う?」と意見を聴いてみるという手があります。
「私は、こういう風にして欲しいんだ。そこで、君だったらどう動く?」とたずねることで、相手の頭の中でシミュレーションをさせる。
これが、復唱と同じような効果を発揮します。
要は、部下に自分で考えさせるということ。
指示待ち人間にさせない、自分で考えさせるのが内省の基本です。
できる部下にするためには、部下にミスをさせないようにする、というのが上司の仕事です。
そのためには、まず復唱。
だまされたと思って実行してみてください。
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第6章 部下の「内省」を促す【2】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。