目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本

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第6章 部下の「内省」を促す【2】結果を振り返らせる

部下に「考え抜く習慣」をつけさせるテクニック

自分で考えて行動できる人材が求められています。必要なのは「考え抜く習慣」です。この習慣は現場での部下指導で育むことができます。どうやって身につけさせるか?それは結果を振り返らせることです。

目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第6章 部下の「内省」を促す【2】
「結果を振り返らせる」

結果を振り返らせる

次は、部下に「考え抜く習慣」をつけさせるテクニックをお伝えします。

私は若手講師を育成するときに、オブザーバーとして見学し、意見を聴かれることがあります。
その際によくするのが、「もう1回やるとすれば、今度はどうする?」という問いかけです。

振り返る男性

経験を振り返り、教訓を抽出して、次に活かす

私が若い頃に読んだSF小説に、ケン・グリムウッド作の『リプレイ』という作品があります。

中年にさしかかった男性が心臓発作で倒れ、記憶を持ったまま18歳の自分に戻って人生をやり直すという物語です。

今までの記憶を活かして人生をやり直すという、実にワクワクする話。
私たちはよく、「学生時代にもっと勉強しておけばよかった」「あのときこうすればよかった」などと考えますからね。

人生は、『リプレイ』のようにもう一回やり直すわけにはいきません。
しかし、頭の中で「次にもう一回やるなら、どうするかなあ?」と考えることは、次の仕事に大いに役立ちます。

自分の経験を振り返り、教訓を抽出して、次に活かす。
つまり、「PDCA」のサイクルを回すということです。

「歴史を学ぶ」ことから得られる教訓

「鉄の女」と呼ばれたイギリスの元首相マーガレット・サッチャーは、政治家になるためにはどうすればいいかと若者に聴かれ、「哲学と歴史を学びなさい」と即答したそうです。

政治学でも経済学でもなく、歴史。
有名な経営者の方にも、歴史を学びなさいと話す方は多いですね。

これは、歴史の専門家になれと言っているわけではありません。
過去の出来事を学ぶことで、現代に役立てられる教訓をくみ取りなさい、と指導しているのです。
振り返るのは、世界の歴史でなくても構いません。過去に自分がたどってきた道を振り返り、教訓を得てもいいでしょう。

部下に振り返りを促す=シミュレートさせる

シミュレーション

そこで部下に、すでに経験した仕事にもう一度チャレンジするとしたら、次はどうするのか脳内でシミュレートさせるのです。

すると部下は、自分の行動を振り返ってああすればよかった、と考えます。
こうして導き出された改善策は、人に教わった改善策より、ずっと強く心の中に定着するものです。

「もう1回やるとすれば、今度はどうする?」という言葉を使うのは、失敗したときに限りません。
むしろ、成功したときにやると効果的です。

失敗した時よりも成功した時のほうがより効果的

ビジネスに失敗すると、多くの人は激しく後悔したり、落ち込む方向に進んでしまいます。
そのため、「今度はどうする?」と問われても反省に終始して、具体的なやり方にまで考えが及ばないケースがあるのです。

ところが成功したときは、なぜうまくいったのかを考えて、次もこうしようとか、もっとこうしたらどうかと考える余地があります。

自分で自分を成長させることのできる部下は、自分自身が体験したことをちゃんと振り返り、リフレクション(熟考・内省)して次につなげていきます。

成功しようが失敗しようが、とにかく「もう一回やるとすれば、今度はどうする?」と質問しましょう。
そして、いずれは部下に自問自答する習慣をつけてしまうのです。

部下本人が答えを導き出す

部下自身で気づいた方が、「自分は成長している」ということを感じることができ、自信にもつながります。
また、同じ失敗を何度も繰り返す部下には、単に振り返らせるだけでなく、その原因も振り返りの中で一緒に考えていきます。

このときに部下を責めるような言動をとってはいけません。
なぜなら、部下は落ち込んで思考を止めてしまうか、言い訳を一生懸命してくるからです。
いずれにしろ振り返りの効果を半減させてしまいます。

大切なのは同じミスを繰り返さないための具体的な行動であり、行動変容です。

「どうすればいいのか」という問いを部下にかけて、部下に考えさせながら対策を考えていきましょう。
自ら答えを見つけた部下は、それだけで成長していきます。

POINT 成功したことでも、失敗したことでも、次にどう活かせるか考えさせる

 

次の記事はこちら
行動させるための第一歩を決める
第6章 部下の「内省」を促す【3】

 

この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。

著者:大林伸安(おおばやしのぶやす)

大林伸安

株式会社ノビテク 代表取締役
教育担当者支援マガジン NOBETECH MAGAZINE 発行人
英国国立ウェールズ大学大学院経営学修士(MBA) 、アクションラーニング学習コーチ。

教育研修事業、講演事業、情報発信事業など人材育成に関わる事業を展開する。日本一の規模の研修実施プロジェクトを講師側総責任者としてプロデュースし、完遂させた実績を持つ。競合会社の経営者が集う「研修業界経営者サミット」では、業界のリーダーたちと研修業界の未来を一緒に考える。

著書:
『仕事が楽しくなる!25のルール』 ダイヤモンド社
『目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」 に変える7つのこと』 明日香出版

大林伸安の講師プロフィール

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投稿by 株式会社ノビテク編集部
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