目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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部下を「できるビジネスパーソン」に育てるには、仕事を覚えさせます。覚えさせるには学習効果が高い方法が効果的です。記憶の定着率が高い方法ともいえます。それが「教えることを経験させる」ことなのです。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第7章 部下の「可能性」を広げ、目標達成させる【4】
「部下に教えることを経験させる」
アメリカの国立訓練研究所が打ち立てたとされる「ラーニングピラミッド」という概念をご存じでしょうか?
これは、さまざまな学習方法ごとに、定着率(忘れにくさ) を示したものです。
この考え方によれば、各学習方法の定着率は以下の通りです。
・講義を聴く(Lecture)….5%
・読む (Reading)……10%
・音声化・視覚化(Audio-Visual)….20%
・実演する(Demonstration) ……30%
・討論する(Discussion Group) ….50%
・体験する(Practicebydoing) ……75%
・他者に教える(Teachingothers)……90%
つまり、人から話を聴くだけでは、たったの5%しか頭に残りません。
文字を読んだり視聴覚教材を使うと、多少効果は上がりますが、それでもまだまだ忘れやすいと言えるのでしょう。
一方、他の人と議論をしたり、体験を通じて学んだりすると、グッと学習効果は高まるそうです。
そして、一番効果が高い学習法、いわば「キングオブ学習法」と呼べるのが、人に教えることだというのがこの理論のポイントです。
人に何かを教える場合は、自分の中で積み重ねてきたノウハウを再び言葉に直し、相手に伝える必要があります。
なぜなら、自分で理解できていない(=言語化できていない)ことを、人に教えられるはずがありませんから。そのため、人に教えているうちに自分の頭の中が整理され、学んできたことが有機的に結びついていきます。
また、他者に教える際には、分かりやすく説明する能力も不可欠でしょう。そこで、プレゼンテーション力やコミュニケーション力も磨けるのです。
ほとんどの企業には、OJTによって社員を育成する仕組みがあります。
そして、先輩社員が後輩社員を指導する「ブラザー・シスター制度」を導入している企業も、かなりの割合に達していると思います。
この制度は、新入社員を育成するためだけにあると考えている人もいるかもしれません。
もちろん、それは目的のひとつです。
しかし、真の目的は先輩社員のパワーアップにあるのではないかと、私は捉えています。
私の会社の研修には「ご一緒研修」という、トレーニー(新人)とトレーナー(先輩社員)とが一緒になってOJTの準備をするプログラムがあります。
手前味噌ですが、OJTを促進させることにとても効果を発揮しています。
上司が部下を指導していくことはもちろんですが、もっと大切なことは、お互いに教え合い、支援し合うチームの風土をつくっていくことです。
教え合う風土をつくるポイントは、やはりいろいろな形で、教える機会を増やしていく以外にありません。
教えることで周りが成長し、教えることで自分がそれ以上に成長する。
人は他者に教えることで、劇的な成長を遂げられます。
そこで部下に「誰かに教える機会」をつくっていきましょう。
何も、新入社員の教育担当を任せなくてもいいのです。例えば、社内勉強会を開いて持ち回りで講師役をやらせるなど、工夫次第でやり方は見つかるはずです。
部門内で、互いに教え・教えられる関係をたくさんつくれば、その分、部下を成長させられる可能性が高まると言えるでしょう。
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部下に権限を委譲する
第7章 部下の「可能性」を広げ、目標達成させる【5】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。