目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
アーカイブ:
アーカイブ:
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第1章 部下との「スタンス」を見直す【6】
「部下のタイプを大雑把につかむ」
人にはそれぞれ、個性があります。100人の部下がいれば、性格も能力も100通り。本来は、一人ひとりに応じて指導方法を変える必要があります。ただし、部下の数があまりに多い場合や、知り合って間もない部下を相手にする場合は、一人ひとりの個性を見極めるのが難しいはず。そんなとき、部下をある程度「タイプ分け」すると、マネジメントや育成の仕方が工夫しやすくなります。
まずは、部下を「理」と「感」の2タイプに分けてみましょう。
左脳を使い、分析的に考えるのが得意。「その根拠は何ですか?」など、会話の中で論理的な疑問・質問を多くぶつけてくる人や、「どれくらいの売り上げが出たのですか?」など、具体的な数字などを気にするタイプが当てはまるでしょう。
「理」タイプは、さらに「合理的に大枠で捉える理タイプ」と「細かく具体的に考える理タイプ」に分けられます。
前者は、詳細より合理性を大切にします。会話の中では、客観的な表現をよく使う傾向があります。例えば、「それを裏づける根拠は何ですか?」など。また、議論の中でも理詰めでクールに根拠や証拠を求めることが多いです。
一方後者は、曖昧な表現で指導されると不安がり、ガイドラインや手順をきちんと求めてくる傾向にあります。例えば、「具体的にどういう手順で実施しますか」など、仕事の目的や計画を細かく聴いたり、上司の話を細かくメモしたりします。
例えば、「わくわくしますね」「楽しく仕事しましょう」といった、前向きな感情を表すことが多い人は、典型的なパターンだと言えます。また、「ちゃっちゃっとやって」「ここはバーンと進めましょう」のように、感覚的な表現をする人もこのタイプに多いです。
こちらもさらに、「夢を好む感タイプ」と「人を好む感タイプ」に分けることが可能です。
前者は、ビジョンや変化を好むケースが多いです。また、直感で行動する傾向があり、好き嫌いが分かりやすいのも特徴です。会話の中に「何かそんな感じがしたんですよ」「そのコンセプトは何ですか?」と全体的かつ未来志向的に考えます。
一方、後者は、「ヒト」にフォーカスした発言が多い傾向にあります。例えば、「皆さんはどう考えているのですか」など、何(What)よりも誰(Who)を重視します。社交的で、周囲の人に関心が高いのです。
「理タイプ」には、感情面で訴えても効果は薄いです。数字や根拠をもとに、筋道を立てて話す方が分かってもらいやすいでしょう。
ほめるときも、より具体的な事実に基づいたほめ方をする方が効果的。例えば、「あなたの報告書は、データが最新でとても分かりやすかった」「TOEICで800点なんてすごいね」など、客観的データに基づいたほめ方が心に響きます。
「感タイプ」なら、感情にフォーカスした話し方が有効です。ほめるときも、多少、具体的でなくても数多くをほめることを意識しましょう。
「面白い、楽しい、あなたのおかげで助かっている」など自分の気持ちを素直に表現する方が、部下の心に伝わるのです。
部下のタイプだけでなく、自分自身のタイプや傾向も意識するといいでしょう。あなたが「理タイプ」なら、部下には具体的なデータをもとに報告するよう求めると、仕事がうまく回りやすいでしょう。
また、互いがどのタイプか分かっていれば、円滑なコミュニケーションにも役立つはずです。
しかしながら、人間を4タイプに分類して全てを理解しようとするのは、ある意味で乱暴なやり方です。こうした考え方は、あくまで「ガイドライン」のひとつだと考えましょう。人は全てのタイプの要素を持っています。あくまで傾向(傾き)として捉え、部下指導やコミュニケーションの参考にしてください。
次の記事はこちら
「三言目言葉」で部下の心を開く
第2章 部下と関わる「場・環境」をつくる【1】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。