目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第2章 部下と関わる「場・環境」をつくる【2】
「部下の話を5分聴く」
管理職の中には、「忙しくて、部下と話をする時間がない」という人がいます。
もちろん、管理職は決してヒマな仕事ではありません。最近は、部下の管理・育成をこなしながら、現場での活躍を求められる「プレーイング・マネージャー」タイプの管理職が増えています。こうした立場の人は、たくさんの仕事を抱えて、てんてこ舞いの状況でしょう。
しかし、忙しさを言い訳にして部下とのふれ合いを拒むのは、私に言わせれば「管理職失格」です。
管理職は、自分の成果だけを追い求めればいいというわけではありません。部下の能力を高め、部門全体のパフォーマンスを上げることが必要。ですから、自分だけの仕事に集中するだけではいけないのです。
そこで管理職の皆さんには、「1日に最低5分は、部下の話を聴く時間を設ける」ことをおすすめします。
1日のスケジュールをつぶさに見てみると、「すき間時間」というものが案外あることに気づきます。会議がはじまる前の待機時間や、お昼休みが終わる直前の時間帯、たばこやトイレ休憩に立ったときなど……。こうした時間をやりくりすれば、5分くらいの時間はたやすく捻出できます。
研修などで、参加者に自己紹介をしてもらう機会があります。そんなとき、多くの人は「3分だと長いなあ」と感じるようです。一方、1分だと短くて語りきれません。ひとつのまとまったテーマで話をするには2分くらいがちょうどいいのです。つまり、5分あれば、3つの話題について話ができます。
1.雑談。その日の天気や最近見た映画、部下と共通した趣味など
2.仕事の話題。現在抱えているプロジェクトの状況や、同僚との連係プレイがうまく進んでいるかなど
3.上司への要望。1章でも解説したように、上司にして欲しいこと、期待していることなどをさりげなく聴いてみる
ここで大事なのは3です。上司への要望の中には、愚痴や仕事への不満などが含まれるケースが多いもの。これをきちんと聴いてあげることは、管理職にとって大事な役割だと言えるでしょう。愚痴を聴いてもらえれば、それだけで部下の気持ちはラクになります。そして、前向きなエネルギーが湧いてくるものです。
ひとつ目は、聴き役に徹すること。自分の話は1割くらいに抑え、部下に9割話してもらうといいでしょう。そして2つ目は、部下の意見を決して否定しないことです。
部下の中には、生意気な意見を言ったり、筋の通らない愚痴ばかりをこぼす人もいます。しかし、ここでカチンときて反論したら台無し!部下は、「この上司に愚痴を言うと、立場を笠に着てやり込められてしまう」と感じ、次からは心を閉ざしてしまいます。すると、信頼関係は築けなくなりますし、部下のモチベーションも下がってしまいます。否定も説教もしないと、肝に銘じておきましょう。
その方は社員のために、新たな施設をつくったそうです。ところが、あるとき誰もいない会長室に、「こんな施設をつくるくらいなら、給料を上げろ!」という落書きが残されていました。大抵の人は怒ったり、がっかりしたりするものですが、その経営者はそれを逆に自分への神の啓示と受け取り、これを踏み石に決意を固めるために、その落書きを額縁に入れ、会長室に飾らせたそうです。
カチンとくる意見をストレートにぶつけてくる部下は、ある意味、貴重な存在です。
その意見を参考にすれば、あなたは自分の行動をいい方向に変えられるでしょう。逆に、彼らを高圧的な態度でやり込めてしまったら、弱点を正すチャンスをみすみす失ってしまうわけです。
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報告のタイミングを育成の場に変える
第2章 部下と関わる「場・環境」をつくる【3】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。