目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第3章 部下に上司の「姿勢」を見せる【2】
「傾聴の姿勢を見せる」
以前、「上司に求めること」というテーマでアンケートを取ったことがあります。 その際、「ついていきたくなる上司は?」という問いに対して最も多かった答えは、「話を聴いてくれる上司」でした。部下は上司に、もっと話を聴いて欲しいと感じているのです。
一方、管理職研修で「部下の話を聴いていますか?」と質問すると、9割以上の人が イエスと答えます。この答えだけを見ると、上司と部下の関係はうまくいっているように見えます。ところが、現実は違う。かなりの部下は、「うちの上司は、話を聴いてくれない」と悩んでいるものです。
あなたが自宅で、奥さんなどに話しかけているとしましょう。 「今日、会社でこんなことがあったよ」「帰り道に、こんな出来事があったんだ」など、あなたは一生懸命に話しかけます。ところが、相手は「ふ〜ん」などと生返事。そして、こちらは一切見向きもせず、テレビ画面を眺めていたとします。
あなたは、どう思うでしょうか?
おそらく、腹が立つのではないかと思います。 相手に言わせれば、話は聴いていたのです。一応、相づちは打っていたのですから。でも、話しかけているこちらからすれば、話を聴いてもらっている気はしませんよね。
同じことは、会社でもよく起きています。部下から話しかけられたとき、パソコンや書類に目を向けたままで、部下の方に全く振り向かない。そんな上司は、決して少なくありません。
気持ちは分かります。特に、急ぎの仕事を抱えているときは、ついついそのままの姿勢で話を聴くこともあるでしょう。
管理職研修では、2人がペアになり、互いの話を聴く演習をすることがあります。まずは、一人が話しかけ、もう一人は無視します。すると、人に無視される辛さを身を持って体験できます。
その後、今度は体ごと相手に向け、顔をしっかり見ながら話を聴かせます。ただし、聴き手は頷づいたり、相づちを打ったりしてはいけないという制約をつけます。
実はこれが難しい。意識を相手に向けて話を聴くと、あごが勝手に動くものなのです。それを禁止されると、人は話を聴いているふりをしながら、別のことを考えたりするものです。
そして最後に、相手の顔を見て、きちんと相づちを打ちながら話をするトレーニングをします。すると、聴き手は自然に相手の言葉を聴けることを実感できますし、話し手の方も、相手に聴いてもらっている実感が得られるのです。
部下から声をかけられたら、書類やパソコンから目を離して、相手の顔を見ながら、相手に意識を向けて話を聴きましょう。すると部下は、「この上司は私の話をきちんと聴いてくれる。私を理解してくれている」と感じてくれます。とてもシンプルですが、これだけで部下の指導はずっとやりやすくなるのです。
とにかく、相手に意識を向けて話を聴くこと。これだけ。「お前の話を聴いているよ」という姿勢をちゃんと見せることです。
「意識の方向」を相手にきちんと向けて話を聴けば、部下はとても前向きな気持ちになります。また、表情を読むことで、部下の気持ちの変化をいち早く捉えることができるのです。
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挑戦する姿勢を見せる
第3章 部下に上司の「姿勢」を見せる【3】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。