目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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部下が行動しないのは、迷いが生じる指示の仕方をしているからではないでしょうか?もしそうならば上司のミスになります。部下が迷いなく仕事に取り掛かれるよう、リーダーや管理職は指示の中で目的を伝えましょう、そして伝え方にも配慮が必要です。その理由をお話しします。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第4章 言葉にして「想い」を明確に伝える【1】
「指示を出すときは、まず目的から」
東日本大震災のとき、東京ディズニーランドの従業員がとった行動が話題を呼んだことをご存じでしょうか。
売り物のぬいぐるみで来場者の頭を守らせた、お土産として販売されているクッキーやせんべいを無料配布した、怖がる来場者を安心させるために踊ったりしたなどのエピソードが報道され、さすが東京ディズニーランドだと評判になりました。
これは想像ですが、災害があったときにぬいぐるみや食べ物を無料配布することは、マニュアル化されていなかったと思います。しかし、東京ディズニーランドのスタッフ (キャスト)は、やるべきことをきちんとやり遂げました。一体、どうしてなのでしょうか?
彼らは、災害時に何を大事にしなければならないのか、ちゃんと分かっていました。来場客の安全・安心が最優先の目的だと、ぶれなく理解していた。だからこそ、非常時にも正しい行動ができたのでしょう。
よく現場のリーダーから、「うちの部下は、仕事の優先順位を分かっていない」「何が大切か分かっていない」という話を聴きます。 でも、それは部下の責任でしょうか?
もし、この仕事は何のためにやるのか、今、何が大切なのかという「目的」を明確にしていれば、部下の動きは変わってきます。
先ほど挙げたディズニーランドの例で言えば、来場客の安全という目的が明確だったから、従業員は迷いなく行動できたのです。
そして、目の前にあるタスクをこなすだけになってしまうのです。
あなたの部下が仕事に優先順位をつけられないのは、仕事の目的をはっきり伝えられていないからではないですか?胸に手を当てて、自分自身に聴いてみてください。「私は、『いいからやっとけ』とだけ伝えて、部下をほったらかしにしていなかったか?」と。
目的をろくに説明しないまま、「いいからやっとけ」式に命令する上司は、意外と多いのです。そもそも伝える側の上司も、この仕事の目的は何なのか、会社が目指しているものは何か、理解していなかったりすることだってあります(笑)。
目的を伝える際に、「会社はこう言ってるんだから」などと話すのはNG。これでは、「いいからやっとけ」と同じことです。
ドラッカーはある著書の中で、3人の石切り工のエピソードを紹介しています。
彼らに何をしているのか聴いてみると、一人目は生活のために石切りの仕事をしていると答えます。2人目は、国で一番の仕事をしようとしていると答えます。そして3人目は、立派な大寺院をつくるために石を切っている、と答えたというのです。
「生活のため」「いい仕事をするため」「立派な大寺院をつくるため」という3つの答えは、全て仕事をする「目的」です。
でも、その深さには格段の差があります。生活のために働く石切り工より、いい仕事をしたいと思う石切り工の方が、仕事に対するモチベーションは高いでしょうし、立派な大寺院をつくろうとしている石切り工は、さらに生き生きと仕事に打ち込めるでしょう。
ですから、仮に会社から命じられたことであっても、それを部下にそのまま伝えてはダメ。
例えば、「今期、会社の目標はこうだ、だから、うちのチームはこういう目標を立てた。そこで君には、こういう目的のためにこの仕事をやってもらう」というように、自分の言葉に翻訳して伝えましょう。
上司の指示の与え方が下手だと、部下は迷います。目的抜きに、ただただ細かい指示ばかりをすると、何の創意工夫もなくなって指示待ちの部下になってしまいます。
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部下が理解できるように話す
第4章 言葉にして「想い」を明確に伝える【2】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。