目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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ハラスメントの意識が高まり、部下や後輩を叱ることができず、踏み込んだ行動修正の指導に至らないことがあります。もちろん、叱るようなことがなければ一番ですが、指示や指導の中で「怒り」と「叱り」が混ざってしまっていないか、振り返って考えていただければ幸いです。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第4章 言葉にして「想い」を明確に伝える【5】
「部下への愛情を伝える叱り方」
あなたは、「叱る」と「怒る」の違いを理解していますか?
管理職の中には、部下のミスに対して怒鳴り散らす人がいます。本人は、部下を「叱っている」つもり。でも、自分の感情を爆発させるのは、単にストレスを解消しているだけ。ただの「怒り」にすぎません。
「叱り」と「怒り」を分けるポイントは、2つあります。
例えば部下が報告を怠り、それが原因でミスを起こしたとしましょう。このとき、まずは報告しなかったという行為そのものを問題にすべきです。そして、それによって周囲にどんな迷惑をかけたか、こまめに報告することでどんなメリットがあるか、などを論理的に話し、部下を説得できれば、きちんと「叱れた」と言えるでしょう。
一方、「何やってるんだ、このバカ!」のように、論拠を示さず怒鳴りつけるのが「怒り」なのです。中でも最悪なのが人格否定。「だからお前はダメなんだ!」などと、部下の存在そのものを否定するようなセリフを吐いたら、その部下はすぐに心を閉ざし、上司の助言を一切聞かなくなるでしょう。
相手のため、行動をいい方向に変えていきたいという思いがあれば、それは「叱り」 になります。
上司から一切の愛情を感じられない状態で指導されたら、あなたはどう感じますか? おそらく、「がんばって行動を変えてみよう」と前向きになることはないでしょう。激しく落ち込むか、腹を立てるかどちらかだと思います。そして、意固地になって行動は変えない。きっと、そんなところではないでしょうか。逆に、「この上司は、私のことを思って注意してくれているな」と思えれば、相手の言葉も素直に聴けるはずです。
松下さんは部下を叱る前に、よく「君ともあろうものが」と前置きしていたと言います。相手に対し、強く期待していることをきちんと伝えてから注意をしていたわけです。
すると相手は、「私は期待されている。よし、がんばって変えなきゃ!」と思える。こういう叱り方が、一番いいのです。
そう言えば、「俺にもっとほめさせろ!」と言ってから叱る人もいました。お前はもっとできるんだから、もっとほめさせろ、今回のような失敗は繰り返すな、と伝えているわけです。こういう叱り方も、愛情があって面白いですよね。
これらの点を意識すれば、部下のやる気を引き出しながら行動を修正する、正しい「叱り方」ができるはずです。
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部下への期待をきちんと伝える
第4章 言葉にして「想い」を明確に伝える【6】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。