目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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管理職やマネージャーの仕事は、チームや部下に成果をだしてもらうことです。部下の業務やモチベーションをマネジメントするには、業務指示に加え、期待を伝えることが肝要です。目指す方向への役割期待を認識してもらい、さらに「期待されている」と感じてもらうことが部下のモチベーションを高めるからです。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第4章 言葉にして「想い」を明確に伝える【6】
「部下への期待をきちんと伝える」
部下への期待をきちんと伝えることは、とても大切です。理由は2つあります。
「役割」とは、それぞれが果たすべき職務のことです。一方、「役割行動」とは、その期待に応えた振る舞いを指します。これがピッタリと重ならないケースは、意外と多いのです。
ちょっと極端な例ですが、AさんとBさんが乗った船が沈没して、無人島に漂着したとしましょう。
そのとき、AさんはBさんに、内心「水と食料を確保して欲しい」と期待しました。一方、Bさんは寝る場所を確保しようと、必死で屋根つきの小屋をつくりました。
Aさんは、生き延びるためには水と食料が最優先だと考えたわけです。でも、Bさんは期待に応えてくれませんでした。そこで、大きな不満を感じてしまいます。
一方、Bさんも別にサボっていたわけではありません。生きるためには寝場所が大事だと考え、汗をびっしょりかきながら小屋を建てた。それなのにAさんに責められ、やはり不満を感じているのです。
期待していることと、相手がとった行動にズレがあるため、互いに不満を抱えてしまうのです。この状況は、職場でもよく起こっています。
そこで、部下には常に、「お前にこういうことを期待しているんだ」と明確に伝えて欲しいのです。
昔から日本人は、「あうんの呼吸」を大事にしてきました。互いに見つめ合うだけで意志を通じ合わせるような関係が、美徳とされていたのです。
しかし、ビジネスの場で「言わなくても分かってくれ」と期待するのは、大きな間違いです。むしろ、「言葉にしなければ、何も伝わらない」と考えるのが正しいでしょう。
私が行っている研修では、「今のポジションで何を期待されているか考えてみましょう」という演習をよくやります。
あるとき、研修の受講者で「私は会社から期待されていません」と語る若手社員がいました。もちろん、モチベーションは最低。いつ辞めようかと考えているような状態でした。
社員を一人採用するためには、求人広告費や人事担当者の人件費など、莫大な費用がかかります。入社後は、研修費などのコストもかけています。さらに、サラリーマンの生涯賃金は2億円と言われます。いわば、社員の採用は超大型の投資なのです。 当然、会社としては成長して欲しいに決まっています。
それなのに社員側は、会社から期待されていないと感じている。ここには、大きなコミュニケーションのギャップがあります。
「自分はここにいてもいいんだ」「たとえ今成果を出せなくても、会社は私に成果を出して欲しいと考えているんだ」と思えることが、部下のモチベーションになります。
では、いつ部下にその期待を伝えるのか? 一番自然なのは、部下に仕事の指示をするときです。やる内容だけでなく、その仕事に対して部下に期待していることも伝えましょう。
役割と役割行動の不一致を起こさせないこと。そして、部下のモチベーションを上げること。そのためには、期待を言葉にして伝えることが不可欠なのです。
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成熟度に応じて教え方を変える
第5章 部下に「成長」したことを感じてもらう【1】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。