目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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部下が育ってきた。あるいはすでに熟練の部下がいる場合。管理職や上司である皆さんは、細かな業務指示を行うティーチングからコーチングへと切り替えていくことになるでしょう。そうした部下の成熟度に応じて部下育成やマネジメントの方法が変わっていきます。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第5章 部下に「成長」したことを感じてもらう【1】
「成熟度に応じて教え方を変える」
経験の浅い若手社員は、知らないことばかりです。自分で判断しろと言われても、その材料すらありません。
そこで最初は、やるべきことを具体的に指示する「ティーチング」からスタートします。
ティーチングを行うときには、5W3Hを明確にしておくことが大切です。
「Why(なぜ)」
「What (何を)」
「Who (誰が)」
「When(いつ)」
「Where (どこで)」
「How(どうやって)」
「How many (どのくらい)」
「How much(いくら)」
の各要素を、できるだけ具体的に伝えましょう。
この仕事は、何のためにするのか。そして、成果を出すと、チーム全体にどのような影響をもたらすのかをきちんと伝えておくこと。
4章でもお伝えしたように、仕事の目的を明確にするのは大事なことです。
一方、ある程度の経験を積んだ部下にも1から10まで教えてしまうのは、あまりよくありません。部下からすれば、「分かりきってることを、いちいち言わないでよ」とうっとうしく感じるでしょう。
また、指示されて業務をこなすことに慣れてしまうと、いわゆる「指示待ち人間」になってしまう危険性があるのです。
そこで、部下がある程度成長してきたら、それに応じて指導のやり方を変えましょう。「ティーチング」ではなく、相手に考えさせる「コーチング」の比率を増やすのです。
コーチングの基本は、相手に考えさせることです。ティーチングでは「こうしろ」という指示が中心になりますが、コーチングの場合は「どうする?」という問いかけが増えます。
ここでも、5W3Hの切り口が役に立ちます。
「この仕事の目的は何?(Why)」
「誰がこの業務を担当するのがベターだと思う?(Who)」
「この仕事は、どのように進めるのが適切だと思う?(How)」
などの質問を投げかけ、部下に考えさせるのです。
こうすることで、部下に自分で考える習慣がつきます。また、創意工夫をする力も伸ばすことができるのです。
コーチングの比率を増やすタイミングは、「ある仕事を一通りこなせるようになった」ときです。
例えば営業職なら、新規顧客のピックアップ、提案書づくり、プレゼンテーション、クロージング、社内関連部門への根回しといった一連の動きが一人だけでできるようになったら、コーチングを増やす時期です。経理職なら、1年間の決算作業を全て経験し、仕事の全体像がつかめてきたら、コーチングを増やすといいでしょう。
もちろん、人によって成熟スピードは異なります。たったの2カ月で次のステップに進める人もいれば、半年以上かかって成長する人もいます。そこで、各自の状況に応じて見極めることが必要です。
水泳の五輪金メダリストである北島康介選手などを育てた平井伯昌さんは、コーチングの名人として広く知られています。
平井さんは北島選手に対し、「金メダルをとるためには、どうしたらいいと思う?」「今の泳ぎをどう思った?」などと徹底的に考えさせ、練習法や泳ぎ方などを工夫させました。自分で考えた分、選手は納得して練習に取り組めますし、前向きなモチベーションも引き出せたと言います。
こうしたやり方は、管理職にとっても大いに参考にできるでしょう。
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小さな成功体験を積ませる
第5章 部下に「成長」したことを感じてもらう【2】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。