目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
アーカイブ:
アーカイブ:
結果を重視した働きをする部下。非常に頼りになります。しかし一方で結果=正解となってしまい、正解を得られない恐怖や失敗の不安が、挑戦の姿勢を失わせています。結果はもちろん大事ですが、結果の前には必ず行動があり、挑戦の姿勢がなければ、より良い結果を得ることが難しい時代です。これからは「プロセスをほめる」スタンスで、挑戦する部下を育成してみませんか?
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第5章 部下に「成長」したことを感じてもらう【4】
「結果よりプロセスをほめる」
社会人にとって、結果は大きな意味を持ちます。
例えば、どんなに会心のプレゼンができたとしても、顧客が契約を結んでくれなければ、売り上げはゼロ。会社には何の利益ももたらせません。
逆に、思わず頭を抱えてしまうような失敗プレゼンであっても、契約さえ取れれば売り上げが立ちます。まさに、終わりよければ全てよしです。
しかし、部下を指導するときは異なります。結果だけではなく「プロセス」も大事にして欲しいのです。
ある、2つのスポーツチームを対象にした実験をご紹介しましょう。
Aチームは、いい結果を出したときだけほめて育てるという方針を採りました。一方、Bチームはプロセスをほめる方針にしました。つまり、積極的なプレイをしたときは、 たとえ失敗してもコーチからほめられるやり方を採用したのです。
Aチームは結果を求めるあまり、プレイが消極的になりました。負けたくない、失点したくないという意識が先立ち、チャレンジする姿勢が失われたのです。その結果、長期的に見ると成績も落ちてしまいました。 一方、Bチームには積極的な雰囲気があふれ、チーム全体が活性化しました。そして最終的な成績も上がっていったのです。
管理職の中には、「最近、ウチの若い連中には、失敗を恐れず果敢に挑戦する姿勢がなくなった」などとこぼす人がいます。しかし、責任は若い社員にあるのでしょうか? もしかすると、結果ばかりに目を奪われ、プロセスを軽視する管理職の姿勢が、チームに停滞をもたらしたのかもしれませんよ。
ある企業の新入社員研修で、男性の研修生が講師に対して「マジっすか!」という言葉を使ったそうです。当然のことですが、社会人の言葉遣いとしては失格。ところがその講師は、研修生を叱らなかったそうです。そして、なぜその言葉を使ったか聴きました。
すると、研修生にとって、「マジっすか!」という言葉も一種の敬語だということが分かりました。友人同士では「マジ?」とだけ話すが、相手は講師なので「ですか?」とていねいに表現した。しかし、いつもの口調が出てしまい、「っすか」と短縮してしまったというのが、彼の言い分でした。
講師はそれを聴き、「相手に対して敬意を払う気持ちは素晴らしい」とほめてから、「でも、言葉遣いとしては間違っているから、きちんと修正しなさい」と指導したそうです。ほめられるのは気分のいいことです。そこで研修生は、素直な気持ちで講師の指導を受け入れることができました。その結果、反省して言葉遣いを改善しようという意識が高まったと言います。
プロセスに注目してほめたことで、育成に成功した好例ではないでしょうか。
プロセスをほめることには、他にもメリットがあります。
1つ目は、結果だけをほめる場合に比べ、ほめる回数が圧倒的に増えることです。その分だけ、部下個人や、チーム全体の雰囲気はよくなるでしょう。
2つ目は、ほめることを通じて部下に「気づき」を与えられることです。「ここはこういう風にしたから、うまくいったね」などと助言することで、上手に仕事を進めるためのノウハウを、自然に吸収させることができるでしょう。
3つ目は、果敢に挑戦する風土が醸成される点です。頑張った人が評価される。挑戦した人が称賛される。そういった風土こそが強い組織をつくっていくのです。
思い切りよくバットを振る打者は、数多くの三振をするでしょう。しかし、空振りをする中でいくつかの気づきを得て、いつか場外ホームランを打てるはずです。
一方、三振を恐れてバットを振らなければ、いつまでたっても見逃し三振ばかり。ヒットすら打てないのです。
次の記事はこちら
ほめてからフィードバックする
第5章 部下に「成長」したことを感じてもらう【5】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。