目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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PDCAサイクルを上手に回すと成長が期待できます。部下指導にもPDCAサイクルが当てはめられます。本記事は、ほめてからフィードバックすることで部下指導のPDCAサイクルが上手に回る、というお話です。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第5章 部下に「成長」したことを感じてもらう【5】
「ほめてからフィードバックする」
ラグビーの元日本代表選手で、引退後に日本代表監督も務めた平尾誠二さんは、ユニークな教え方をしていたそうです。
例えば、タックルの練習をしているとき、選手がタックルに失敗したとします。普通の監督なら、「何をやってるんだ!」と怒るでしょう。
ところが平尾さんは、「今の手の出し方はよかったぞ!」「相手にぶつかるタイミングが素晴らしかった!」など、何かいいところを見つけてほめます。ほめるところがひとつも見つからなかったら、「ナイスガッツ!」と声をかけたそうです。
選手だってバカじゃありません。
タックルに失敗したら、どこか悪いところがあったのだろうと気づきます。しかし、監督はほめてばかりで、悪いところを指摘してこない。すると、選手は自分から、どこに問題があるのか聴いてくるそうです。そこではじめて、修正すべき点をアドバイスするのです。
平尾さんから指摘された点を直し、もう一度プレイすると、当然、前回よりうまくいきます。すると、選手は喜びます。
そこで平尾さんは、もう一度ほめる。そして、間髪入れず、さらに修正すべき点を伝えます。そうするうちに、自然と選手は上達していくのだそうです。
こうした一連の指導法は、いわゆる「PDCAサイクル」になっています。 まずは、監督の指摘に従ってタックルのやり方を考え(= Plan)、練習の場でやって みる(= Do)。そして、練習の成果を確認して(= Check)、さらに次に活かせる教訓を見つける(= Act)わけです。
選手をほめ、適切なタイミングでアドバイスを与えることで、平尾さんは上手にPDCAサイクルを回していると言えるでしょう。
これに対し、「何をやってるんだ!」と怒鳴りつけるのは、自分からPDCAサイクルを止めてしまうやり方だと言えます。選手たちは、感情を持った人間です。いきなり怒鳴られたら、ついつい反発してしまうでしょう。そして、監督のアドバイスを聴かず、おざなりに練習時間を過ごすことばかり、考えるようになります。そうなると、とても上達など望めません。
皆さんには、テストで悪い点を取り、先生や親から怒られた経験はありませんか? 中には、どん底に突き落とされることで、「なにくそ!」とがんばれる人もいるでしょう。しかし多くの人は、成績の悪いときに追い打ちをかけられると、「もういいや ……」とやる気を失ってしまうものです。
逆に、テストで100点を取ったりすると、「もっとがんばってみようかな?」というモチベーションが生まれてきたりしませんでしたか?
職場でも同じことが起こります。
ダメ出しをしてからアドバイスをしようとすると、PDCAサイクルは止まり、部下は成長できません。さらに、上司に対して心を閉ざし、報告なども怠るようになります。
部下が報告してくれなければ、上司である私たちは、部下の現状をなかなか把握できなくなります。状況がきちんと把握できなくなれば、適切な指示や対応もできません。
また、部下と話す機会も減ることで、ますますほめるタイミングや指導するタイミングを逸してしまいます。結果、チームは成長せず、成果を上げることが難しくなります。
部下にネガティブな言葉をぶつけると、部下より先に自分自身がつぶれてしまうことを理解しておきましょう。
ほめることで部下のモチベーションを高め、その上で適切なフィードバックを行う。
それが、部下指導で大事にすべきポイントのひとつです。
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間接的にほめてやる気を刺激する
第5章 部下に「成長」したことを感じてもらう【6】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。