目標を達成し続けるリーダーの部下を育てる7つの基本
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部下を持てば、頭がよくて弁が立つ人材に出逢います。もともと仕事ができたとしても、たまにはミスすることもあるでしょう。しかし言い訳が先立って、次にミスしないためにどうすればいいか?といった話に展開できないのではまずい。そこでミスを成長の機会に変える話し方をお伝えします。
目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本
第6章 部下の「内省」を促す【5】
「たまには部下に反撃する」
とかく、言い訳が先に立ってしまう部下は少なくないものです。
頭はよくて、仕事のスキルも悪くない。しかし、何かミスをすると最初に言い訳から入るタイプ。
上司にしてみると、嫌なタイプですね。
部下の言い訳を、頭からはねつける必要はありません。
一切の言い訳を受けつけないと、部下は八方ふさがりになってしまいます。
すると、ストレスはたまるし、部下の立場もなくなってしまうでしょう。
そこで、ある程度の言い訳は容認した方がいいのです。
ただ、あまりにも度がすぎたときには反撃しないと、言い訳が癖になってしまいます。
そうすると、一向に成長できません。
若手向けの研修では、「他責」と「自責」という話をよくします。
仕事が思い通りに進まないとき、「会社が悪い」「あいつが悪い」「景気が悪い」などのように、自分以外に原因を求めるのが他責。
一方、「自分に配慮が足りなかったから失敗したのでは?」「もっと努力できることはなかったか?」「違う角度から考えれば解決策が見つけられたのでは?」など、自分の責任を冷静に振り返ることができるのが自責という立場です。
一般に、伸びる部下は自責、伸び悩む部下は他責であることが多いのです。
他責の人は、自らがコントロールできないことに意識がいってしまいます。
例えば、景気が悪い、相手の会社が悪いなどと文句を言っても、それらが自力で変えられるわけではないですよね。自分ではどうしようもないことについてあれこれ悩むのは、すごくストレスになるし、負の思考スパイラルに入ってしまいます。これでは、仕事の成果を出すことも期待薄です。
一方、自責の人は原因を自分に求め、自分でコントロールできることから変えようとします。そのため、自分から努力して、正の思考スパイラルに入っていける。
だから、自分も成長しますし、仕事の成果も出し続けられます。
言い訳ばかりする、他責の癖のある部下に対して効果的なのが、相手が話し終わった後に「で?」、あるいは「で、どうしようか?」と切り返すことです。
こうすると、部下に「自責」として考えさせるきっかけを促すことができます。
これは、嫌味で言うのではありません。自分でコントロールできないことにとらわれている部下を、「で?」という言葉で現実に引き戻す。そして、この後どうすればベストか考えてもらうのです。
ただし、あまりに「で?」を連発するのも部下を追い詰めてしまいますので、適度な回数を守ることが大事です。部下が5回言い訳をしたら、1回反撃するくらいでちょうどいいでしょう。
部下の言い訳は、基本的に全部聴いてあげましょう。
絶対に、途中で「言い訳なんかするな」と遮ったりしない。一回、一通り聴いて、
「分かった、なるほどそういうこともあるな」と受けてからの、「で、どうしようか?」です。
あんまり言い訳が重なって度がすぎたときは「で?」を強く言ってみるのもいいですが、通常はソフトに「で、どうしようか?」と言えば充分でしょう。
私たち上司は、部下に考えさせるだけでなく、行動を促さなければなりません。とにかく前を向かせて、行動させることが大切です。「で、どうしようか?」は、一歩進めて次に何をするかを部下に促します。
この上司は必ず最後に「で、どうしようか?」と言うな、と部下が思えば、その準備もするようになります。つまり、次にどんな行動をとるべきかの準備をする習慣がつくのです。
「で?」という言葉は、部下に行動を促す言葉なのです。
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余裕がなくなった部下に仕事を手放させる
第6章 部下の「内省」を促す【6】
この記事は、2014年発刊の大林伸安・著である書籍「目標達成し続けるリーダーの「できない部下」を「デキる部下」に変える7つのこと (アスカビジネス) 」を基に、メールマガジン「ノビテク通信」向けに再編集、配信した「目標達成し続けるリーダーの「部下」を育てる7つの基本」です。内容や名称、肩書きなどは当時のままとなっておりますことご了承ください。