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  3. NO.5 株式会社メディアライツ 取締役 小林元之氏

「楽しむ」を伝播する仕掛人、小林元之が語る。

小林元之 氏
株式会社メディアライツ
取締役
小林元之氏
Q.小林さんの今までの経歴を教えてください。
野球漬けの高校生活を送っていたことも手伝ってか、大学入試で少し足踏みしまして、2年間のブランクの後関西大学に入学しました。その頃から教育には関心があり、4年間に行ったアルバイトは塾講師、家庭教師、通信添削指導員など、教育に関わることばかりでしたね。もちろん教育実習にも行きましたし、教員免許も取りました。
大学卒業後は大学院に進学し、人工知能の教育への応用に関する研究をしました。現在の相談システムやe-Learningです。既に26歳になっていたこともあり、博士課程前期過程修了時の1993年に松下電器産業株式会社に入社しました。
最初に配属された部署では回路を作ったり、作った回路を制御するソフトウェアを開発したりと、初めてのことばかりで、上司や先輩方、同僚から実にいろんなことを教えて貰いました。新商品の立ち上げのメンバーとして開発・設計の一役を担わせて貰ったことで “モノづくり”を学ぶことができ、大変勉強になりました。
その後、2000年7月、希望してIT教育研究所に異動しました。Webやe-Learning等、ITを活用した新しい教育の方法と事業を生み出して行くことをミッションとする部署です。
そこでコミュニケーションにスポットを当てて活動をしていると、あることに気付きました。テレビやパソコンなどがそうであるように、ハードウェアやインフラを作るとそこで楽しむソフトウェアが欲しくなる。
コミュニケーションにおいても、共通の話題やきっかけとなるコンテンツが必要なんです。ハードウェアもインフラも、ソフトウェアがなければただの箱に過ぎないんです。コミュニケーションを活性化するには良いコンテンツが必要だと改めて感じました。そこで、その道のプロの力をお借りして、一緒に取組むのが最良だと考え、所長の号令に従って、研究所のメンバー全員が、教育やコンテンツに関わるソフトウェア関連の企業様にお伺いし、実に多くのことを教えて頂きました。
その活動の中から、株式会社PHP研究所と松下電器産業株式会社との共同出資で、現在私が籍を置く株式会社メディアライツが誕生したのです。立ち上げ時は、はじめての経験ばかりで相当苦労しましたよ。銀行口座の開設から事務所探し、そして公証役場での定款認証から法務局への登記申請など、司法書士の方にお願いするものだと一般に言われている会社設立に関する申請も、自分達で手続きさせて貰いました。お陰で会社設立の全てを経験することができ、とても勉強になりました。PAGE TOP
Q.株式会社メディアライツの事業内容を教えてください。
小林元之 氏事業コンセプトは「学びは人生のテーマ」です。ヒトの一生は生まれてから死ぬまで「学び」の連続です。ヒトは教育を通して知識と知恵、そして生きる力を身に付けます。そして社会の生成発展を促し、反映を通して平和で幸せな人生を実現することができます。
そんな学びの実現に欠かせないのが、環境です。その環境を提供することが目標なのです。その目標を現実のものにするために、学びの素材であるコンテンツを、その源泉である『人』と一緒に「いいものを、安く、たくさん」提供する仕組みを作りたいのです。
そのための具体的な事業として、作家、大学教授、研究者、企業家などのクリエーターと書籍、ラジオ、TV、インターネットなどのメディアを繋ぐコンテンツエージェント事業を行っています。野球でいうと2番バッターの役目ですね。サッカーならファンタジスタ、バレーボールならセッターでしょうか。つまり、ラジオ番組、携帯電話やインターネット、出版などの媒体を繋いで、良質なコンテンツを流通する仕組みとビジネスモデルの構築を目指しているのです。
そのための一つとして現在、インターネット上のblogとラジオの相互乗入れさせたラジオ関西の番組「さくらのブロラジ」の企画・制作を行っています。これは、TBS系BSデジタル放送BS-iのラジオ番組「元気e!」(2003年4月~2005年3月放送)他の企画・制作を通して培ってきたノウハウに新たなアイディアを付加して、もう半歩前進させることで実現しています。
「元気e!」は、「じぶんづくりのヒント」「元気と成功の秘訣」など、豊かな人生を送るための知恵と勇気を学ぼうという人生応援番組で、各界からたくさんの著名人がご出演くださいました。今年2月に書籍にもなりました。木村政雄監修「プロに訊け! 明日が見えた瞬間」(丸善)です。
たくさんの成功者とお会いさせて頂き、直接お話を伺っていると、皆さんのお話には共通する点が多いことに気づきました。じっくり研究してみればはっきり分かると思いますが、成功の法則は実は数種類に分類される程度しかないのではないかと思います。皆さんそれぞれご自分の言葉で語ってくださいますが、突き詰めて考えてみると、おっしゃっていることは同じ意味だったりするんです。
他にも、教え方をテーマにしたエフエム東京系のBSデジタルラジオ放送ミュージックバードの番組「向山洋一の教育ステーション」で有料公開録音をしたり、書き下ろしの携帯小説や作家の携帯公式サイトのコーディネート、出版やDVDのプロデュース、そして作家自らが主催するセミナーや教室を支援したりなど、コンテンツに纏わる一連の実証実験を行ってきました。その価値を評価下さる方を得て、現在、もう半歩、いえ、もう一歩進んだ企画を共同検討させて頂いています。PAGE TOP
Q.「元気e!」にご出演くださった著名人のお言葉で印象に残っている言葉はありますか?
「持っているものを一度捨てなさい」という言葉です。「勇気を持って、心の中にあるコップの中身を一回流し捨ててみる」とか「両手いっぱいのものを一回パッと放さないと空っぽにならない。空っぽにしておけば、降ってくるチャンスをいつでもキャッチできる」など、表現はいろいろでしたが、多くの方がそのようなことをおっしゃっていました。人はすべてをなくすことで、初めて必死になって手に入れようと思うのであり、保険をかけているうちは新しいものは手に入らないという意味です。
他にも、「自分を大切にして輝かせよう」、「他人と比べるな」、「他人の目を気にするな」、「ツルまずひとりでぶつかれ」、「“人生ドラマ”も波瀾万丈のほうがおもしろい」など、「自分の人生を生きろ」ということや、「今のための今まで」、「人生いつも“笑っている場合”」、「平等に与えられた可能性を活かすかどうかは、生き方しだい」など、「今を生きる(結果はついてくる)」ということ。
そして、「人間性をむき出しにして怒るお客様に感動と感謝」、「心にゆとりを持って、人を思いやり、自分も輝ける生き方を!」、「『お客様のため』ではなく『お客様の立場に立つ』」、「相手の立場で考える」など、心に響く教えを頂きました。PAGE TOP
Q.小林さんが今後やりたいことはありますか(何ですか)?
小林元之 氏一つの番組だけでなく、全体に関わってみたいですね。そうすれば、今より一歩、コンテンツ流通の仕組み作りに近づけます。放送業界にある「考査」といういわば、一番厳しいコンテンツの査定を通過した良質のコンテンツを、放送番組として流すことで終わりにすることなく、通信や出版のメディアを通して、より多くの人に楽しんで貰いたいと思っています。
その際に欠かせないのがそれぞれのメディアに適切な形にチューニングすることであり、原作者・出演者と視聴者・読者・ユーザの両者にメリットを享受することです。コンテンツ提供側に関わっているからこそ、私は常に「自分自身が第一番目の視聴者・読者・ユーザでありたいか」を判断基準にしています。PAGE TOP
Q.では最後に20代の若者にアドバイスをお願いします。
まだまだ途上ですが、私のこれまでの経験から感じていることを申し上げると、会社を「箱」、自分を「中身(コンテンツ)」と考えれば、自分が楽しめば会社も楽しくなるはずなんです。自分が楽しまずして誰が楽しめるのでしょう。待っているのではなく、自分から楽しむ、最初に楽しむことが大切だと思うんです。楽しみながら自分が欲しいと思うモノやコンテンツ、サービスを作り出したとき、自信を持って皆さんに薦められますよね。そのためには「まず思うこと、次に強く願うこと、そして行動すること」です。
小林元之 氏スポーツのトレーニング法の一つに、イメージ・トレーニングがあります。思うことを具体的に描いて、強く念じその後で行動を起こすのです。何もないところからは何も生まれません。イヤだと思っているだけでは何も生まれないのです。「面白そう」と思ったらまずはやってみてください。
そのとき決して悪い結果はイメージしないことです。「打たれるかも…」と思って投げると、必ず打たれます。「三振するかも」と思って打席に入って打てることはありません。ゴルフでも「外したらどうしよう」と思ってパットすると外してしまいますし、スキーやスノーボードでも「怖い」とか「こけたら…」などということが頭を過ぎったときにはいい滑りはできませんよね。リスクを知った上で、成功をイメージして行動を起こし、行動を起こしたら、諦めたり投げ出したりせず、続けることです。
それからやりたいことは何度もしつこく言い続けることです。あきらめずに言い続けていると、きっと応援してくれる人や協力してくれる人、そして自分を一段上の世界へひっぱり上げてくれる人が現れます。やりたいことのために、苦しいことにもチャレンジしましょう。その一歩先には必ず楽しいことがあります。
私は、甲子園出場の夢を果たすことはできませんでしたが、自分の頭で考えること、自分の手で実践すること、そして逃げない勇気を持つことなど、野球を通して得たものが様々な形で今の私を支えてくれています。目指したものが直接手に入らなくても、途中で投げ出さずに取組んだことは、その後の人生で必ず生きてくるのです。PAGE TOP