- Q.今までの経歴を教えてください。
- 学校卒業後、小さな広告代理店に就職しました。一生懸命楽しく仕事しましたが、私が24歳のとき倒産寸前に。そこで将来について真剣に考えたのです。今後の選択肢としては転職するかまたはフリーとなって独立するか、そのどちらかです。どうしようか悩んでいろんな方に相談しました。そんな時、当時のクライアントで社員50人くらいの会社の社長さんに起業を勧められたのです。フリーで仕事をとるのではなく、きちんと会社組織にして起業するということです。成功すれば美味しいものは食べられるし、好きなお洋服も買えるし、楽しいよと言われ、そんな生活に憧れて起業を決めたのがきっかけです。
半年の準備期間を経て再出発しました。お陰さまでそれまでのクライアントを引き継ぐことができたので、黒字の安定経営でした。そうするとだんだん新しいことをやりたくなったのです。
私は社会経験もあまりありませんし、起業や経理の勉強もしたことがありません。だから実践するのみでした。幸いにもたくさんの方がメンターとなって助け支えてくださいました。そのお陰でここまでやってこられました。
しかし今後は起業する方みなが、そのように恵まれた環境ではないと思います。少しでもそんな方たちの助けになれたらと思ったのです。自分自身が事務所の敷金礼金からオフィス機器や備品まで、相当お金がかかり、大変な思いをしました。こうして自分が起業したときに困った経験などを活かし、今で言うレンタルオフィス、SOHOを思いついたのです。自分が不便を感じたこと、欲しいと思ったものを形にしたいと思う一心でした。
こうして2000年に起業家向けレンタルオフィスを始めました。当時はまだ新しい試みでしたから、自信があったわけではありません。6ヶ月たってダメだったら潔くやめようと心に決めていました。しかし始めてみると、たったの3ヶ月で12室あった部屋がすべて埋まったのです。やはり世の中のニーズはたくさんあることを実感しました。とても嬉しかったです。しかし私たちの仕事は満室にすることではありません。その後いかに快適なサポートを続けていくかです。他にはない、うちならではのあたたかいサポートを心がけました。1年半は広告代理店の仕事も平行して続けていましたが、レンタルオフィスのほうが忙しくなってしまったので代理店はやめました。 - Q.起業するにあたっての資金準備はどのようにしたのですか?
- OL時代に多少の貯金がありましたので、三分の一は自己資金、残り三分の二は親や親戚から借りました。幸いにも商売している家が多かったので、起業することには好意的で反対する人はいなかったですね。しかし、レンタルオフィスを始めるときには多くの資金が必要でした。そこで国民金融公庫の融資を申し込みましたが、そう簡単には貸してくれませんでした。1年がかりでやっと1億円を借りることが出来たのです。このときは結構辛かったです。
- Q.多くのリスクを背負って、起業することに不安はありませんでしたか?
- 不安がなかったわけではありませんが、今思うと知らないから出来たのだと思います。経験がなく若かった分、なんでもできました。経験を積んだ今、同じことをやれるかというと、リスクを考え怖くて出来ないかもしれません。でも借金のリスクよりもやりたい気持ちのほうが大きかったことは事実です。
人間は弱い動物ですから、あんまり先を見すぎると尻込みして何もできません。辛いこともこの先どこまでも続くと思うと途中でやる気を失ってしまいます。だから私は常に半年先を見るようにしています。半年だけならがむしゃらに頑張ることが出来ます。休みがなくても徹夜でも大丈夫です。だから今でも半年周期で物事を見るようにしているのです。
若いうちに起業することは、私はいいと思いますよ。ただし知らないことが多すぎるので、何でも相談できるメンターの方がいらっしゃるといいですね。 - Q.今ではたくさんあるレンタルオフィスの中で御社の特徴はなんでしょうか?
- ハード面の充実はもちろんのこと、心のこもったメンタルサポートを心がけています。自分の経験から感じることですが、起業当初は何をするのも一人で寂しいものです。だからアットホームな雰囲気を大切にしています。当社をご利用いただいている方一人一人と密にコミュニケーションを取り、事務的ではない対応をしています。
たとえば営業に出かける人がいれば「行ってらっしゃい!頑張ってお仕事とってきてくださいね」と声をかけます。学生寮の寮母さんみたいという感想をいただいたこともあります。
お客様の会社が成長しここを巣立っていかれる時はとても寂しく複雑な気持ちですが、でもそれは嬉しいことですね。お客様の繁栄が私たちの繁栄であり喜びでもあります。お陰さまで1年前に道玄坂にも、もう一店舗オープンしました。 - Q.公私共に今後はどのようにしていきたいですか?
- 個人としては、今後は起業家としてのみならず、母としての役割も経験し、さらにその経験が仕事に活かせればいいなあと思います。
仕事面ではお客様の声を活かしてサービスの充実をさらに目指します。今までもそのような視点で電話応対や資料作成など、企業の総務部の役割をサービス化しました。最近では当社を利用してくださっていた会計士さんと組んで、経理的なサポートを始めました。
今後もこのように当社のお客様とタイアップすることで新しいサービスができたらいいなあと考えています。たとえば営業サポートや人事部の役割など企業の一部署を担うイメージです。 - Q.最後に若者たちにひと言メッセージをお願いします。
- この仕事のやりがいはやはりお客様から「いつもありがとう」と言われたりほめてもらったりしたときです。そのためにもいつも笑顔を心がけています。私のモットーは「いつも楽しく明るく!!」です。辛いときも笑顔を忘れずにいれば気持ちを切り替えることが出来ます。笑顔の人の周りには笑顔の人が集まります。みんな明るく楽しくなります。